スペイン料理の技法と用語

ソフリット、ピルピル、エスカベチェ…
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スペイン料理の基本中の基本。みじん切りにした玉ねぎ、にんにく、トマト(場合によってはピーマン)を、弱火でじっくり40〜60分かけて炒めたベースソース。焦がさず、飴色になるまで気長に。パエリア、煮込み、ソースの土台になる。火が強いと苦くなる。スペインの台所の香りそのもの。

パエリアの底にできる、香ばしくカリッと焼けたお米の層。焦げではなく、「焼き目」。バレンシア地方のパエリアでは必須とされ、取り合いになるほど愛される。日本の「おこげ」と本質は同じだが、火加減とタイミングで作るスペインのソカラットはより繊細で計画的。

カタルーニャ地方の伝統的な仕上げのペースト。にんにく、パセリ、アーモンドやヘーゼルナッツ、パン粉などを乳鉢ですり潰し、煮込み料理の最後に加える。とろみと深みを一気に与える「最後の一手」。シチューやサルスエラ(魚介の煮込み)に使われる。

バスク地方の伝統的な乳化ソース。タラ(バカラオ)の皮や骨から出るコラーゲン(ゼラチン質)と、オリーブオイルを低温でゆっくり混ぜることで、自然にとろみがつく。卵も乳製品も使わない、素材の力だけで作る魔法のような技法。温度管理がすべて。

本来混ざり合わない水と油を、細かい粒子にして均一に混ぜ合わせる調理技術。マヨネーズ(卵黄+オイル)、アリオリ(にんにく+オイル)、ピルピル(魚のコラーゲン+オイル)はすべて乳化の応用。温度、混ぜる速度、比率の3つが成功のカギ。

魚や肉を揚げるまたは焼いたあと、酢・白ワイン・オリーブオイル・香味野菜(玉ねぎ、にんにく、ローリエ)のマリネ液に漬け込む保存調理法。冷たくして前菜として提供することが多い。酸味が脂をさっぱりと包み込み、数日置くと味がなじんでより美味しくなる。

にんにく、塩、オリーブオイルだけで作る伝統的な乳化ソース。卵黄を使うマヨネーズより歴史が古く、漁師や農民の保存食として発展した。にんにくのパンチが強く、パエリアや魚料理、パタタス・ブラバスに添えられる。現代ではマヨネーズを混ぜたマイルド版も一般的。

カタルーニャ発祥のナッツベースのソース。ローストしたトマト、乾燥ニョラ(赤ピーマンの一種)、アーモンドやヘーゼルナッツ、にんにく、オリーブオイル、ビネガーをペースト状にしたもの。焼き野菜や魚(特にタラ)、カルソッツ(長ネギの炭火焼き)に添えて。スモーキーで濃厚。

オリーブオイルとビネガー(酢)をベースに、塩、にんにく、ハーブなどで味を調えたドレッシング。スペインではシンプルなものから、ピーマンやトマトを加えたものまで多彩。魚介のマリネやサラダ、茹で野菜にかける。乳化させるか分離したままかは好みで。

スペイン・メノルカ島の港町マオン(Mahón)発祥とされる乳化ソース。卵黄、オリーブオイル、レモン汁または酢、塩で作る。18世紀にフランス軍が持ち帰り「マヨネーズ」として世界中に広まった。スペインでは、仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを加えるのが本場流。

食材を低温(70〜90℃)のオリーブオイルや脂の中でじっくり加熱する調理法。スペインでは特にタコ(プルポ)やタラ(バカラオ)を柔らかく仕上げるのに使う。油で「揚げる」のではなく「煮る」イメージ。食材の水分を保ちながら火を通せる。

肉や魚を、オリーブオイル、酢またはレモン汁、にんにく、ハーブ、パプリカなどの調味液に漬け込む下処理。味をつけるだけでなく、酸がタンパク質を柔らかくし、保存性も高める。スペインではピンチョス・モルーノ(串焼き肉)の下準備に欠かせない。

スペインの揚げ物料理。イカのフリット(Calamares fritos)、魚のフリット(Pescaito frito)、アドボ風フライ(Cazón en adobo)など。衣は小麦粉とひよこ豆粉が基本。ひまわり油を使うのが一般的で、オリーブオイルは高級品。カリッと軽く、二度揚げしない。

鉄板(プランチャ)で高温短時間で焼く調理法。魚介類(エビ、イカ、貝類)や野菜に多く使われる。油はごく少量。素材の水分を閉じ込め、表面だけに香ばしい焼き目をつける。スペインのバルのカウンターで最もよく聞こえる調理音の一つ。

炭火や薪の熾火(おきび)でじっくり焼く伝統的な調理法。肉(チュラスコ)や魚(イワシの炭火焼き)、野菜(カルソッツ)まで幅広い。バスク地方のアサドール(炭火焼き専門店)はこの技法の聖地。煙の香りが料理に深みを与える。

肉・豆・野菜を弱火で長時間煮込むスペインの家庭料理の王道。水分を飛ばしすぎず、とろみのある煮汁ごと食べる。レンズ豆の煮込み(Lentejas)、ひよこ豆とほうれん草(Garbanzos con espinacas)など。スペインの「おふくろの味」。

肉類(豚・鶏・牛肉など)、野菜、ひよこ豆を大きな鍋で長時間煮込むスペイン版ポトフ。地域によってコシード・マドリレーニョ(マドリード風)、コシード・ガジェゴ(ガリシア風)などがある。スープ→豆と野菜→肉、と三段階で食べるのが正式な流れ。

食材に小麦粉や溶き卵、パン粉などをまぶして揚げる技法。スペイン風オムレツのじゃがいもは、まずオリーブオイルでコンフィ風に火を通してから卵と合わせるが、コロッケ(クロケッタ)はベシャメルソースを固めてから小麦粉+卵+パン粉でレボサードする。

強火で手早く炒める調理法。少量の油を使い、食材をフライパンの上で跳ね上げながら(フランス語で「ソテ」)加熱する。アヒージョ(にんにくとオリーブオイルでエビやキノコを炒める)はこの技法のスペイン版代表格。

スペイン産のパプリカ粉末。甘口(dulce)、辛口(picante)、燻製(ahumado)の3種類がある。特にラ・ベラ地方のスモークパプリカはオーク材で燻製され、独特の香りを持つ。チョリソの赤い色もパエリアの風味も、ほとんどがピメントンのおかげ。

クロッカスの花の雌しべを乾燥させた世界一高価なスパイス。スペインは世界有数の産地(ラ・マンチャ地方)。パエリアに黄金色と独特の香りを与えるが、本物は高価で、粉末の偽物やターメリックで代用されることも多い。本物を見分けるには「糸状」であることが第一条件。

EUの原産地名称保護制度。スペインには多くのD.O.P.食材がある:ハモン・デ・テルエル、シェリー酒(ヘレス)、ラ・マンチャのアサフラン、リオハワインなど。その土地の気候・土壌・伝統製法で作られたことの「公的な証明書」。

スペインのバル文化を代表する小皿料理。広義にはどちらも「おつまみ」だが、厳密には異なる:タパ(tapa)はメニューに載っている有料の小皿料理。ピンチョ(pincho)は元々「串」の意味で、ガリシアでは飲み物を頼むと無料で出てくるサービスのおつまみ。バルセロナやサン・セバスティアンではピンチョが創作料理として進化している。

スペインの飲食店で平日のランチに提供される定食スタイルのコース。前菜(primero)+主菜(segundo)+デザート+パン+飲み物がセットで、10〜15ユーロ程度。法律で「観光客向け価格ではなく、地元の人が日常的に食べられる価格であること」と定められている。

スペインの社会生活の中心にある「バル(Bar)」の習慣。朝はカフェ・コン・レチェとチュロス、昼はメニュー・デル・ディア、夜はタパスとビールやワインでバル巡り(tapeo)。一人で行っても、友人と行っても、カウンターで隣の見知らぬ人と会話が生まれる。スペイン料理は「分かち合い」の精神と不可分。

食材を沸騰しない低温(80〜90℃)の液体の中でゆっくり火を通す技法。スペインでは卵のポチェ(huevo poché)が煮込み料理の仕上げによく使われる(ラ・リオハ風ポテトなど)。黄身をトロリとさせ、煮汁と混ぜてソースにする。温度計がなくても「鍋底に小さな泡がつくくらい」が目安。

果物や肉を、酒・酢・砂糖・ハーブなどの液体に漬け込み、香りや味を移す技法。冷蔵保存がなかった時代からある保存法の一つ。ティント・デ・ベラーノ(夏のワインカクテル)はワインをレモンや果物でマセラシオンするのが本場流。時間をかけるほど味がなじむ。

調理開始前に全ての材料を計量・カット・準備しておく仕事の哲学。スペインでは特に「アプロベチャール(無駄にしない)」の精神と結びつき、残り物を次の料理に活かす計画にもなる。日本の「段取り」に近いが、より柔軟でチーム全体で動く概念。

食材を30秒〜2分ほど熱湯にくぐらせ、すぐに氷水にとる技法。スペインでは野菜の色を鮮やかに保つ(グリーンアスパラガス、グイサンテス)、トマトの皮を簡単に剥く、貝の砂抜き後の洗浄などに使う。日本の「湯通し」と同じだが、氷水の工程がより体系的。

デグラサール:肉を焼いた後のフライパンにワインやブランデーを注ぎ、こびりついた旨味をこそげ落としてソースのベースにする技。フランベアール:アルコールに火をつけて飛ばし、香りだけを残す演出。ガンバス・アル・アヒージョで最後にブランデーをフランベするのはスペインのソムリエ技。

スープやソースにとろみをつける技法。スペイン独自の方法は「ピカーダ」(ナッツ+パン粉+ニンニク)を最後に加えること。日本の水溶き片栗粉とは違い、風味も同時に加わる。小麦粉のルーを使うこともあるが、ピカーダが最もスペイン的。

湯煎(ゆせん)。直接火にかけず、湯を張った容器の上で間接的に加熱する技法。クレマ・カタラナやナティージャス(カスタード)を焦がさず均一に火を通すために必須。チョコレートを溶かすときも。温度が上がりすぎないので、失敗が少ない。スペインの修道院菓子の多くがこの技法を使う。

液体(スープ、バター、ワインなど)から不純物や濁りを取り除き、透明にする技法。スペイン料理では特にカルド(出汁)のクラリフィカシオンが重要。卵白を使って濁りを吸着させる伝統的な方法は、14世紀のヘレス(シェリー酒)生産から発展し、結果としてトッシーノ・デ・シエロ(卵黄だけを使うデザート)を生んだ。

スペイン・バレンシア地方原産の短粒米。パエリアに最適とされる「三大米」の一つ(他はセニア、バイア)。一粒一粒が独立して炊き上がり、スープをたっぷり吸ってもべたつかない。日本のコシヒカリに比べて約3倍の吸水率。日本では輸入品で入手困難だが、ネット通販で購入可。国産米で代用する場合はミルキークイーンが比較的近い。

スペイン地中海沿岸で栽培される丸くて小さな乾燥赤ピーマン。ロメスコソースの核となる食材で、水で戻して果肉だけをこそげ取って使う。甘くてスモーキーな深い味わい。日本では入手が難しいが、輸入食材店やネット通販で「乾燥ロメスコペッパー」として購入可。代用なら普通の赤パプリカのオーブン焼き+少量のスモークパプリカで近づける。

バレンシア地方の平たくて白い大型インゲン豆。本場のパエリア・バレンシアーナに欠かせない公式の具材の一つ。独特のホクホクした食感と、ほのかな甘みが特徴。日本では乾燥バタービーンズ(ライマメ)が最も近い代替品。缶詰ではなく乾燥豆を戻して使うのが本場。

塩漬けにして乾燥させたタラ。スペイン全土、特にバスク地方で国民的な食材。使う前に最低24〜48時間、水を何度も替えながら塩抜き(デサラール)する必要がある。ピルピル(コラーゲン乳化ソース)やビスカイナ風(ピーマンソース)はすべてバカラオが主役。生タラとは全く別物で、塩が引き出す旨味とゼラチン質が決め手。

塩漬けのバカラオ(干しタラ)を使う前の必須作業。冷蔵庫で24〜48時間、水を6〜8時間おきに替えながら塩を抜く。皮を上にして浸けると均一に塩が抜ける。指で押して弾力を感じるようになったら完了。「塩辛いバカラオ」になるか「水っぽいバカラオ」になるかはこの工程で決まる。スペインの家庭では専用のバカラオ浸け容器があるほど日常的な作業。

にんにくを高温多湿の環境で数週間熟成・発酵させた黒いにんにく。スペインが発祥で、近年日本でもブームに。生にんにくのような刺激はなく、プルーンのような甘みとバルサミコのような深い酸味がある。アリオリに混ぜると黒アリオリ(alioli negro)に。肉料理や魚料理のソース、パテの隠し味としてプロの厨房で重宝される。

スペイン語で「魚介類」全般を指すが、特にエビ、貝類、イカ、タコなどのシーフード文化そのものを象徴する言葉。ガリシア地方は大西洋に面し、「世界一のシーフード」と自称するほどの産地。クリスマスには家族で貝やエビを囲む習慣があり、日本の正月のおせちに近い文化的重みがある。魚介は日常のタパスから最高級の宴会まで貫くスペイン料理の背骨。

スペイン南西部原産の黒豚。放牧で育ち、特にドングリ(bellota)を食べて育った「ベジョータ」等級が最高。脂にオレイン酸(オリーブオイルと同じ一価不飽和脂肪酸)が多く、とろけるような口溶けが特徴。部位によってセクレト(肩ロースの隠れた部位)、プルマ(肩ロース)、プレサ(肩肉)など、日本ではなじみの薄い希少部位の使い分けもスペイン料理の醍醐味。

スペインの家庭とバルの両方で愛される、ベシャメルソースをベースにしたクリームコロッケ。ハモン、鶏肉、タラ、キノコなどバリエーションは無限。外はカリカリ(小麦粉→卵→パン粉のレボサード)、中はトロトロのコントラストが命。冷蔵庫の残り物をベシャメルで包んで揚げる「アプロベチャール(活用する)」精神の結晶でもある。

じゃがいも、玉ねぎ(入れる派と入れない派でスペインが二分する永遠の論争)、卵、オリーブオイルだけで作るスペインの国民食。じゃがいもはオリーブオイルでコンフィのように低温で火を通し、卵と合わせて両面焼き。ピンチョ(バルの無料おつまみ)の定番で、冷めても美味しいのでピクニックや弁当にも。「ひっくり返す」のが最大の難関。

ガリシア地方を代表するタコ料理。巨大な銅鍋でタコを茹で、木の皿に切って盛り、粗塩、ピメントン(甘パプリカ)、エクストラバージンオリーブオイルをたっぷり。ゆで汁で茹でたジャガイモ(カチェーロス)を添える。タコを柔らかく茹でる秘訣は「3回驚かせる」:沸騰した湯に3回出し入れしてから本茹で。年間を通してガリシアのフェリア(祭り)で振る舞われる。

パエリアを調理する専用の浅くて広い鉄鍋のこと。料理名と同じ単語だが、スペインでは「パエリアを食べる」とは言わず「アロス(米)を食べる」と言うことが多い。鍋の大きさで何人前か決まり、縁の取っ手を使って直火にかける。炭火(レニャ)で炊くのが最高とされ、バレンシアのパエリア職人(パエジェーロ)は鍋を回しながら均一に火を入れる。日本の家庭用コンロでは鍋の直径の1/3しか火が当たらないのが最大の敵。

スペインの素焼きの浅い土鍋。アルメハス・ア・ラ・マリネラ(あさりの白ワイン蒸し)を提供するときなどに使われる。保温性が高く、直火にかけられるのが特徴。料理が冷めにくく、そのまま食卓に出せるので「料理と器が一体」になる。ガリシアやカタルーニャでは地域ごとに形や釉薬が異なる。

スペインの台所に必ずある石の乳鉢と乳棒。アリオリ、ロメスコ、ピカーダなど、ペースト状のソースや調味料を作るのに不可欠。ブレンダーやフードプロセッサーで代用するよりも、石ですり潰すことで素材の油分や香りがゆっくり引き出され、味に深みが出る。にんにくを塩と一緒にすり潰すときの「ザリッ…ザリッ…」という音はスペインの台所のBGM。

食事の前に飲み物と軽いつまみを楽しむ習慣。スペインでは単なる「食前酒」ではなく、ヴェルムット(vermut)やカバ(cava)を飲みながらピンチョスをつまみ、食事までの時間をゆったり過ごす社交の時間。日本の「乾杯」が合図で始まるのに対し、スペインのアペリティーボは始まりも終わりもあいまいで、そのままバル巡りに発展することも。

食事が終わったあとも席を立たず、コーヒーやリコール(食後酒)を飲みながら会話を続けるスペイン特有の習慣。30分、1時間、時にはそれ以上。この時間のために食事があると言っても過言ではない。料理は「食べる」だけでなく「話す」ためのものでもある、という価値観の表れ。日本で言えばお茶を飲みながらの団らんに近いが、より長く、よりにぎやか。

どちらも卵黄ベースのカスタードデザートだが、クレマ・カタラナはカタルーニャ地方の伝統菓子で、シナモンとレモンの皮で香りをつけ、表面に砂糖をのせて焼きゴテでカラメリゼする(フレンチのクレームブリュレの原型とも言われる)。ナティージャスはスペイン全土の家庭菓子で、より柔らかく、流し込み型でビスケットを添えることが多い。混同されがちだが「焼く/焼かない」「カタルーニャ/全土」で区別する。

スペイン風ミートボール。豚肉と牛肉の合い挽きを基本に、にんにく、パセリ、パン粉、卵、牛乳でふんわりと仕上げる。最大の特徴はソース:トマトソース、アーモンドソース(アルメンドラ)、イカスミソースなどバリエーション豊か。タパスとしても、メインの煮込みとしても提供される。「アプロベチャール(活用)」の知恵から、余った肉やパンで作られる家庭料理でもある。

スペイン語で「活用する・無駄にしない」の意。スペイン料理の根底にある精神で、日本の「もったいない」に非常に近い。硬くなったパン→トルティージャやミガス、余った肉→クロケッタやアルボンディガス、卵黄だけ使った残りの卵白→ワインの清澄に活用(副産物としてトッシーノ・デ・シエロ誕生)。スペインの伝統料理の多くは「美食の創造」ではなく「欠乏の知恵」から生まれている。

天然酵母で発酵させたパン種。スペインではパン(pan)が食卓の中心で、「pan de pueblo(村のパン)」と呼ばれる素朴で酸味のあるパンが各地で作られている。ガリシアのパン・デ・ブロア(トウモロコシ粉入り)やカタルーニャのパ・デ・パジェス(農民のパン)など、郷土色豊か。ソパ(スープに浸したパン)やミガス(砕いたパン料理)のような使い方もスペインならでは。

カタルーニャ地方の冬の風物詩。長ネギに似た品種を炭火で真っ黒になるまで焼き、外側の焦げた皮を手でむき取り、中身をロメスコソースにどっぷりつけて食べる。「カルソッターダ」と呼ばれる野外イベントでは、エプロンをかけ、素手でむいて、ワインをボタ(革袋)から直接口に流し込む。日本の焼きネギに近いが、より祭りの要素が強い。

アンダルシア地方発祥の冷製スープ。完熟トマト、きゅうり、パプリカ、にんにく、パン、オリーブオイル、ビネガーをすべてミキサーでなめらかにし、冷蔵庫でキンキンに冷やす。飲むというより「液体のサラダ」。もともとは農民が畑で余ったパンと野菜をすり潰して食べたのが起源。サルモレホ(salmorejo)はパンの比率が高く、よりクリーミーな親戚。

スペインの細長い青唐辛子。バスク地方のピンチョの定番で、オリーブやアンチョバと一緒に串に刺して(Gilda)提供される。酢漬けにしたものが一般的。辛さは中程度で、日本の鷹の爪よりマイルド、ししとうよりはピリッとくる。バスクのバルでは「バンダリージャ」と呼ばれるピクルス盛り合わせの主役でもある。

スペインを代表する白ワイン用ブドウ品種。ベルデホはルエダ地方(カスティーリャ)で、ハーブや青草を思わせるフレッシュな香り。アルバリーニョはガリシアのリアス・バイシャス地方で、桃やアプリコットのような果実味とミネラル感が特徴で、シーフードとの相性が抜群。どちらも「料理を邪魔しないワイン」としてパエリアや魚介の定番ペアリング。