メルルーサのオレンジ風味サラダ

「メルルーサのオレンジ風味サラダ」は、スペインの多くの家庭で、特に暖かい季節に楽しまれるクラシックな料理です。スペイン語では「Salpicón de merluza con naranja」とも呼ばれます。茹でてほぐした淡白なメルルーサ(白身魚)と、甘くジューシーなオレンジ、そして風味豊かなビネグレットソースが一体となり、軽やかでありながら満足感のある一皿を生み出します。見た目も華やかで、前菜としても、軽いメインディッシュとしても最適な、シンプルで洗練されたレシピです。.
歴史的・文化的背景
この料理には、特定の地域や時代に由来する壮大な歴史物語はありませんが、スペインの食文化の本質をよく表しています。それは、高品質で旬の食材をシンプルに組み合わせ、それぞれの持ち味を最大限に引き出すという考え方です。特に、魚介類と柑橘類の組み合わせは、地中海料理の定番です。
「サルピコン」とは、魚介類や肉などを細かく切り、ビネグレットソースで和えた冷製料理の総称です。このレシピは、その伝統的なサルピコンに、スペインの代表的な果物であるオレンジを取り入れた、モダンで創造的なバリエーションと言えます。家庭料理として発展し、各家庭で少しずつアレンジが加えられながら、現在に至っています。
材料(2〜3人分)
- 【魚と具材】
- メルルーサの切り身(皮・骨なし): 400g
- 甘くて大きなオレンジ: 2個
- トマト(またはミニトマト): 150g
- 卵: 2個
- 【メルルーサを茹でる用】
- 水
- ローリエの葉: 1枚
- 黒胡椒(粒): 数粒
- 塩: 少々
- 【ドレッシング(ビネグレット)】
- エクストラバージンオリーブオイル: 大さじ6
- 白ワインビネガーまたはリンゴ酢: 大さじ2
- パセリ(みじん切り): 大さじ1
- 塩、挽きたての黒胡椒: 少々
必要な調理器具
- 鍋(2つ)
- 大きなボウル
- 小さなボウル(ドレッシング用)
- 包丁とまな板
- 大皿
調理手順
卵を茹でる: 鍋に卵と冷水を入れ、火にかけます。沸騰したら10分間茹でます。時間が来たら冷水に取り、完全に冷ましてから殻をむき、4等分のくし切りにしておきます。
メルルーサを茹でる: 別の鍋に水、塩少々、ローリエの葉、黒胡椒の粒を入れて火にかけます。沸騰したらメルルーサの切り身を入れ、火を弱めます。6~8分間、身が白くなり、簡単にほぐれるようになるまで優しく茹でます。茹で上がったら、水気をよく切り、少し冷ましておきます。
具材を準備する: メルルーサを冷ましている間に、オレンジの皮を白い部分が残らないようにきれいにむき(「al vivo」スタイル)、一房ずつ薄皮から外します。トマトは食べやすい角切りにします。
ドレッシングを作る: 小さなボウルにエクストラバージンオリーブオイル、酢、塩、胡椒を入れ、よく混ぜて乳化させます。最後に、細かく刻んだパセリを加えて混ぜ合わせます。
仕上げる: 少し冷めたメルルーサを手で食べやすい大きさにほぐします。大皿にほぐしたメルルーサ、オレンジの房、トマト、茹で卵を彩りよく盛り付けます。
盛り付け: 食べる直前に、上からドレッシングを回しかけ、全体を軽く和えてから提供します。
盛り付けとマリアージュ
よく冷やして提供するのが最も美味しい食べ方です。特に夏場のランチやディナーにぴったりです。
爽やかな酸味のあるスペインの白ワイン(アルバリーニョ、ベルデホなど)と非常によく合います。
美味しいパンを添えて、皿に残った風味豊かなドレッシングを浸して食べるのもおすすめです。
地域によるバリエーション
玉ねぎを加える: 細かく刻んだ赤玉ねぎや春玉ねぎを少量加えると、食感と風味のアクセントになります。
他の魚介類で: メルルーサの代わりに、タラやエビ、タコなど、他の魚介類を使っても美味しく作れます。
オリーブの追加: 黒オリーブや緑オリーブを加えると、より地中海らしい風味になります。
実用的なアドバイス
オレンジの皮むき: オレンジを「al vivo(活きむき)」にするのが、口当たりを良くする鍵です。白いワタの部分は苦味があるので、丁寧に取り除きましょう。
魚の茹で加減: メルルーサは茹ですぎると身が硬くなり、パサパサになってしまいます。火が通ったらすぐに引き上げるのがポイントです。
ドレッシングのタイミング: 食べる直前にドレッシングをかけることで、野菜のシャキシャキ感や魚のフレッシュさを保つことができます。